歯ブラシの菌

オーラルケアに欠かせない歯ブラシですが、油断していると雑菌まみれになる恐れがあるのです。
口の中にはあらゆる細菌がいます。

そのため、口内を磨いている歯ブラシには知らないうちに菌が付着しているのです。
また、菌がたくさん付いた歯ブラシで歯を磨いても、清潔な口内環境が保てる可能性は低いと言えます。

今回は、歯ブラシの除菌や保管の正しいやり方をご紹介します。
歯ブラシの清潔さに自信のある人も、ここでご自分の管理の仕方を見直してみましょう。

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歯ブラシの菌はどれぐらい多い?

「パソコンのキーボードやスマートフォンには菌がたくさんいる」という説がありますが、少なくとも歯ブラシに関しては付いている菌は非常に多いのです。
その数は100万以上、果ては1億以上にもおよぶという説があります。

歯ブラシは毎日使うものですから、管理方法に気を付けないとあっという間に雑菌まみれになってしまいます。
トイレの水より汚い状態になる事もあり得るのです。

誤った方法で保管し続けた歯ブラシには、最悪の場合カビが生えるケースもあります。

歯ブラシの除菌は必要?

「除菌」という言葉は医学用語ではなく、学術的にはほとんど用いられない言葉なのです。
また、歯ブラシに除菌が必要だという事も医学的には証明されていません。

しかし、除菌は菌を減らす行為なので、歯ブラシの除菌は必要であると結論づける事が出来ます。
ちなみに、除菌と似たような意味を持つ言葉として「滅菌」「消毒」があります。

含まれる菌が少なく、かつ人体への害が少ない状態の順に並べると滅菌、消毒、除菌となるのです。
除菌は滅菌や消毒に比べると菌に対する効果は劣りますが、何もせず歯ブラシを保管すると菌がどんどん繁殖する恐れがあります。

そのため、歯ブラシの除菌はこまめにやりましょう。

菌が繁殖しやすくなる歯ブラシの保管方法

菌が繁殖しやすくなる歯ブラシの保管方法

一見一般的な保管方法でも、歯ブラシの雑菌繁殖を促している恐れがあります。
ご自身の歯ブラシの保管方法が、以下のような事に当てはまるかチェックしてみましょう。

  • 家族全員の歯ブラシを1ヶ所で保管している
  • 歯ブラシを濡れた状態で保管する
  • ユニットバスなど細菌の多い場所で保管
  • 歯ブラシを交換していない

これらの保管方法のうち1つでも自分の保管方法に当てはまったら要注意です。
この後、ご紹介する管理方法を実践し、歯ブラシの菌の繁殖を少しでも抑えましょう。

歯ブラシの菌を繁殖させない方法

歯ブラシの菌を繁殖させない方法

菌だらけの口内を掃除する以上、歯ブラシに菌が付着するのはやむを得ない事です。
しかし、雑菌まみれの歯ブラシで歯を磨き続けていると、後々口内トラブルに繋がる恐れがあります。

歯ブラシの菌を0にする事は難しいですが、菌の繁殖を抑える事は可能です。
ここでは、歯ブラシに付いた菌を繁殖させないための管理方法をご紹介します。

普段のお手入れや保管のしかたを見直し、ここで正しい管理方法を知っておきましょう。
どれも決して難しい方法ではないので、出来れば今日から実践してくださいね。

歯ブラシを乾燥させる

菌は、ジメジメした所で繁殖する傾向があります。
そのため、歯ブラシを濡れた状態で保管していると、あっという間に菌が増えていきます。

菌の繁殖を防ぐには、歯ブラシを乾燥させる事が大切です。
乾燥を意識するだけでも菌の繁殖を抑えられる可能性があります。

使った歯ブラシを洗った後、軽く振って水気を切るだけでは不十分です。
清潔なタオルやティッシュ、ペーパータオルで水分をきちんと拭き取ってから元の場所にしまいましょう。

保管場所を考える

歯ブラシは風通しが良く、日光の当たる場所で保管するのが理想的です。
扉の付いたスペースに歯ブラシを収納している人は注意してください。

風通しの悪い場所に歯ブラシを置いておくと、菌の繁殖が進んでしまう恐れがあるからです。
乾燥状態を保ちやすくするために、風通しの良い場所で保管しましょう。

また、日光の当たる場所が望ましいのは、紫外線に殺菌作用が期待できるためです。
洗濯物を外で干すと菌が繁殖しにくくなり、より清潔な状態になる事が期待できます。

これは歯ブラシにおいても同様なのです。
歯ブラシを日当たりの良い場所で保管する事で、菌の繁殖を抑える効果が得られます。

使用後はしっかり洗う

歯を磨いた後の歯ブラシは、念入りに洗ってください。
軽くすすぐだけでは、歯ブラシの汚れを落とし切る事は難しいのです。

特に毛の細いタイプの歯ブラシはかなりしっかり洗わないと食べカスが取れません。
毛の根元まで指でよくこすって、汚れを落とし切りましょう。

歯ブラシに何も絡みついていないかを、目でじっくり確認する事もポイントです。
また、歯ブラシを貯め水で洗う人がいますが、菌の繁殖を抑えたいのなら流水で洗う事をオススメします。

家族の歯ブラシを別々のコップで保管する

家族と同居している人には歯ブラシを1ヶ所に集めて保管している人が多いようですが、これはオススメ出来ません。
歯ブラシの毛先が触れ合ってしまうと菌も付着します。

これでは自分の歯ブラシを清潔にしようと努力しても、その効果が半減してしまいます。
1つのコップに家族全員分の歯ブラシを入れているなら、早めに別々のコップに移し替えてください。

どうしても歯ブラシを1ヶ所に集めざるを得ない時は、家族全員の歯ブラシをこまめに除菌しましょう。

歯ブラシを定期的に交換する

歯ブラシは1ヶ月に1度は交換する事をオススメします。
使い続けていくうちに歯ブラシの毛先が広がってしまうためです。

毛先が広がった歯ブラシで歯磨きをしても、歯の汚れはキレイには落とし切れません。
1日に3回歯磨きをする場合、歯ブラシの寿命は1ヶ月程度と考えてください。

こまめに取り換えれば菌が繁殖するリスクも下げる事が出来ます。
また、前回歯ブラシを取り換えてから1ヶ月未満でも、毛先が広がったら交換しましょう。

電動歯ブラシの場合も毛先が広がったら取り換え時ですが、定期的に交換するのが望ましいのです。

歯ブラシをケースに入れない

歯ブラシをケースに入れてしまうのはオススメ出来ません。
汚れが付きにくいというメリットはありますが、密閉した状態で歯ブラシを保管すると乾燥しづらくなるので、菌の繁殖が進みやすくなります。

旅行先でどうしてもケースに入れたいという場合は、歯ブラシを十分に乾燥させてから入れましょう。
自宅ではケースを使わず、歯ブラシ専用のスタンドやホルダーで保管する事をオススメします。

歯ブラシ1つだけ立てられるタイプのスタンドを複数個購入すれば、家族と同居していても歯ブラシの毛先が触れ合う事なく保管する事が出来ます。

除菌グッズを使用する

歯ブラシの菌の繁殖を防ぐ薬品には「歯ブラシ防菌スプレー」というアイテムがあります。
こちらは市販されておらず、歯医者さんに問い合わせる事で購入する事が出来るのです。

市販されているもので菌の繁殖を抑えたいのなら、薬品に浸して歯ブラシを除菌するという方法があります。
これらの薬品が除菌剤として使う事が出来ます。

  • イソジン
  • ミルトン
  • 入れ歯洗浄剤

いずれも本来は歯ブラシ用の除菌剤ではありませんが、人体への害が少ない薬品なので安心して使う事が出来るのです。
コップに薬剤を入れ、そこに歯ブラシをひたしましょう。

イソジンを使う場合は歯ブラシに色が付きやすく、また後で水洗いしてもあまり落ちない事を覚えておいてください。
また薬品以外でも歯ブラシを除菌出来るグッズはあり、代表的なものが紫外線で除菌する電気機器です。

乾電池やUSB電源を用いる事で使えます。

間違った歯ブラシの除菌方法

間違った歯ブラシの除菌方法

良かれと思ってやっている事でも、実は歯ブラシを傷めていた、除菌効果があまり期待出来ないという場合があります。
歯ブラシを除菌する事はたしかに大切。

しかし、間違った方法でやり続けていると歯ブラシの寿命を縮めたり、最悪の場合自分の身体に害を及ぼしたりする恐れもあるのです。
ここでは、歯ブラシの除菌方法として知られているもので、あまりやらない方が良いものをご紹介します。

もしこれまでのご自分の除菌方法に当てはまった場合はすぐにやめましょう。
次回除菌する時には、先述した除菌グッズを使って菌の繁殖に対処してください。

熱湯を使う

菌を死滅させるには熱湯につけるのが簡単、かつ効果的です。
しかし、歯ブラシを熱湯にひたすのはオススメ出来ません。

歯ブラシの毛はナイロンやアクリルなどで出来ているのですが、それらはせいぜい80℃ぐらいまでの温度にしか耐える事が出来ないのです。
100℃前後にもおよぶ熱湯につけると歯ブラシの毛が変形する恐れがあります。

市販されている歯ブラシの多くは熱湯に耐える事が出来ないので、熱湯を使って除菌しようとするのはやめてください。

漂白剤での除菌

台所用漂白剤での除菌も家庭で簡単に行えますが、危険性がある事からオススメ出来ない方法です。
菌を減らすには漂白剤の濃度が薄過ぎても濃過ぎてもいけません。

濃度の調節が非常に難しい上、もし高過ぎる濃度で希釈した漂白剤を使うと除菌後の歯ブラシを使った後身体に異変が起こる恐れがあります。
台所用の漂白剤の主な成分は次亜塩素酸ナトリウムという劇薬だからです。

台所用漂白剤は布巾などの除菌によく用いられますが、知識のない人が除菌目的で漂白剤を使うのは本当は危険な事だと言えます。

アルコール消毒

除菌アイテムとして、アルコールは非常に馴染み深いものです。
しかし、歯ブラシをアルコール消毒しても、菌を減らす効果はあまり望めません。

原液のアルコールより濃度70%のアルコールの方が菌を減らす効果が期待出来るのですが、たとえその濃度で歯ブラシに用いたとしても除菌効果は長続きしにくいのです。
また、歯ブラシに付く菌の中には、アルコールでは除菌しづらいものもあります。

そのため、歯ブラシの除菌にアルコールは不向きなのです。

歯ブラシの除菌は歯周病に効果がある?

歯ブラシの除菌は歯周病に効果がある

歯周病を予防、改善させるには歯磨きを丁寧に行う事が欠かせません。
それに加え、歯ブラシを除菌しておく事も大切なポイント。

歯周病の改善する上で重要なのは、口内の細菌を減らす事です。
歯ブラシの除菌をこまめに行えば、口内の菌を減らす事が出来ます。

歯周病は進行すると歯が抜けるだけでなく、身体の病気にも繋がりかねません。
除菌した清潔な歯ブラシで歯磨きをすれば、口内の細菌がそれ以上増える心配も少なく歯周病も改善に向かう可能性があります。

歯ブラシと菌のまとめ

歯ブラシと菌のまとめ

一般的に見える歯ブラシの保管方法、除菌方法の中には、菌の繁殖を促す恐れがあるものもあります。
今一度、ご自身の歯ブラシの管理のし方を見直してみましょう。

菌の繁殖を抑えるには、歯ブラシをよく洗い乾燥させる事が大切です。
もし次の歯磨きまでに歯ブラシを乾かす事が難しいのなら、歯ブラシを2本使用し乾燥している方を歯磨きに使いましょう。

菌の増加に対処出来ている歯ブラシを使えば、歯周病リスクも下げられる効果が望めます。

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