歯ブラシの洗浄液

虫歯や歯周病予防のため、歯ブラシの毛質や歯磨き粉の成分にこだわりを持つ方は多いと思います。
しかし、「歯ブラシの除菌」を行う方は、未だ少ない事でしょう。

実は、歯ブラシにはとても多くの細菌が付着していると言われています。
台湾の歯科医が行った実験では、3週間使用した歯ブラシには100万個以上の細菌が付着している事が分かったのです。

これは、バケツ9杯分の汚水に匹敵し、便器の水の80倍にもあたる細菌数。
そんな歯ブラシを使い続けると、口内の不快感や口臭、歯周病の発生に繋がってしまいます。

このため、歯ブラシは少しでも清潔に保つ事が大切と言えます。
今回は、歯ブラシの清潔を保つ「洗浄液」の効果や使い方などを解説をしていきます。

お使いのオーラルケア用品に洗浄液をプラスして、より歯磨きの効果を高めてみましょう。

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歯ブラシの洗浄液とは?

歯ブラシの洗浄液とは、歯ブラシに付着した細菌を除去する専用のアイテムの事です。
毎日、歯磨き後に洗浄液を使用する事で、歯ブラシに付着した細菌の繁殖を抑える事が出来ます。

洗浄液で歯ブラシを清潔にする事で、歯周病などの口腔内トラブルを予防する効果が期待できるのです。
まず下記では、歯ブラシに使用する洗浄液の効果や疑問などを解説していきます。

歯ブラシの除菌は必要?

そもそも、歯ブラシには洗浄液などで除菌が必要なのでしょうか。
結論から先にお伝えすると、「除菌はした方が良い」です。

と言うのも、人の口内には、約300~700種類もの細菌が存在しています。
毎食後に歯磨きを行う人で1,000~2,000億個、1日1回の歯磨きを行う方は、4,000~6,000億個もの細菌がいると言われているのです。

口内を清掃する歯ブラシには、これらの細菌が沢山付着しています。
本来、細菌は唾液により数が一定に保たれ、身体に無害な中性に制御されています。

しかし、歯ブラシに付着した細菌は唾液がないため大量に繁殖し、酸性やアルカリ性に傾いてしまいます。
これが歯磨き時に体内に入る事で、身体に害となる事があるのです。

どれだけ健康な人の口内にも細菌はいるので、それ自体に問題はありません。
その細菌のバランスが崩れ、口臭や歯周病などの口腔内トラブルが起こる事が問題なのです。

洗浄液で得られる効果は?

洗浄液で得られる効果には、以下のものが挙げられます。

歯周病

歯周病とは、口内の細菌が歯茎に入り込み、炎症や膿が溜まる症状の事を指します。
症状が悪化すると、歯を失うなど、安易に考えてはいけない病気の1つです。

歯周病は、丁寧な歯磨きのほか、口内の細菌を減らす事が改善のカギと言えます。
洗浄液での歯ブラシ除菌は、口内の細菌を減らすサポートが出来るため、効果があると言えるのです。

口臭

口臭は、歯茎や歯の溝、舌に溜まった細菌が悪臭物質を生み出す事で発生します。
洗浄液での歯ブラシ除菌は、口内の細菌を減らすサポートが出来るため、口臭の改善にも効果が期待できるのです。

歯ブラシ除菌を行う事で、必ずしも口内の細菌が減ると言う事ではありません。
ですが、「口内の細菌を増やさないこと」が歯周病や口臭の改善・予防として大切と言えるのです。

消毒、滅菌、除菌の違い

「消毒」「滅菌」「除菌」「殺菌」、この4いの違いを知っている方は少ないと思います。
清潔な歯ブラシを保つため、どの方法が適しているのかを確認してみましょう。

消毒

菌の活動を弱めること。
人体に有害な細菌を死滅・無害化する事を指します。

除菌

細菌をある程度減らすこと。
菌を減らす事なので、完全になくす訳ではありません。

水洗いで菌を排除する事も除菌と言えます。

殺菌

細菌を死滅させること。
一部の菌を死滅させるだけでも殺菌と言います。

医薬品にしか表記が出来ないので、洗剤などの日用品に表記される事はありません。

滅菌

微生物の生存確率が100万分の1以下になるまで殺菌すること。
市販の商品に表記される事はないので、業務用(医療用)と覚えておきましょう。

菌を無くす正確さは、「滅菌」<「殺菌」<「除菌」<「消毒」の順です。
歯ブラシ洗浄液は日用品のため、滅菌・殺菌と表記ができません。

このため、販売されている洗浄液がどれだけ効果があっても、除菌と表記されるのです。

洗浄液だけじゃない!歯ブラシの洗浄方法

洗浄液だけじゃない歯ブラシの洗浄方法

歯ブラシの清潔を保つ方法は、なにも洗浄液だけではありません。
少しの手間を掛ければ、お金を掛けずとも清潔な歯ブラシを使う事が出来るのです。

下記では、歯ブラシの洗浄方法をいくつかご紹介します。
中には専用の器械を用いた方法もあるので、自分にも出来そうなものを見つけてみましょう。

水洗いと乾燥

歯ブラシの除菌の基本は、「水洗い」と「乾燥」です。
洗浄液の使用前にも歯ブラシの水洗いが必要となるので、しっかりとチェックしましょう。

歯磨き後の歯ブラシは水でサッと流すだけでなく、指の腹でブラシを動かしながら付着した食べカスを取り除きます。
この時、強い力を加えると歯ブラシの毛先が傷んでしまうため、優しくいじる事がポイントです。

歯ブラシを十分に水洗いした後は、風通しの良い場所で乾燥させます。
清潔なタオルで余分な水分を拭き取り、ドライヤーの冷風を当てると、より除菌効果が高まります。

歯ブラシの毛先は熱に弱いため、ドライヤーの温風を当てない様に注意して下さい。
ただし、いくら水洗いと乾燥をしても、細菌を「殺菌」する事は出来ません。

洗浄液や後述する方法を活用し、歯ブラシの清潔を保つようにしましょう。

天日干しで殺菌

太陽の光に含まれる紫外線は、シミや皮膚ガンなどの原因となる一方、細菌を殺菌すると言う良い効果もあります。
天日干しする事で、洗浄液を使わずとも歯ブラシの清潔を保つ事が出来るのです。

水洗いして水気を切った歯ブラシを物干し場に持って行き、天日干しを行いましょう。
太陽が最も高く昇る12時前後は、紫外線量がもっとも多い時間帯。

日が傾くとともに紫外線量は少なくなるので、歯ブラシを天日干しする時間帯は10~14時の4時間程度がオススメです。
コップや歯ブラシスタンドを持ち運んで、立てかける様に干してみましょう。

それでは太陽光が当たらない場合は、洗濯ばさみが付いた物干しに歯ブラシを取り付けるなどの工夫を行って下さい。
ただし、歯ブラシの種類や素材などで殺菌方法は変わります。

心配な方は歯ブラシを持参し、歯医者さんにアドバイスを受けると良いでしょう。

洗浄液で除菌

洗浄液には、スプレーボトルと粉末タイプの2種類があります。
簡単な使い方を下記でご紹介しますが、詳しい使い方は購入した商品の取り扱い説明書を読みましょう。

スプレータイプ

水で洗った歯ブラシに、適量(平均1~2プッシュ)を吹きかけます。
その後、風通しが良い場所で保管しましょう。

粉末タイプ

適量の水(平均100~150ml)に粉末を入れ、溶かします。
水で洗った歯ブラシを洗浄液に入れ、30分~1晩ほど漬け置きをします。

洗浄液で除菌効果を得るには、最低でも30分、長い物だと1晩は漬け置きをしなければなりません。
歯ブラシをすぐに使う事が出来ない状態になるので、注意が必要です。

これを避けるため、予備の歯ブラシを常備しておくと良いでしょう。
片方を除菌している間はもう片方を使う事で、清潔な歯ブラシを使う事が出来るのです。

除菌器を使う

「もっと簡単に歯ブラシ除菌をしたい!」と言う方にオススメなのが、歯ブラシ除菌器を使う方法です。
歯ブラシ除菌器は紫外線(UV)を歯ブラシに当てる事で、付着した細菌を殺菌する事が出来ます。

1本ずつ殺菌するものや、数本の歯ブラシを一気に殺菌できるものなど、形態はメーカーによって違います。
また、近年ではオフィスでも使用できるUSBタイプの除菌器もあります。

歯ブラシ除菌器の価格は、3,000円~15,000円程度。
信頼できるメーカーか、予算に合っているかなどをチェックしてみると良いでしょう。

使い方はシンプルで、水で洗った歯ブラシを専用のケースに入れるだけ。
あとはボタンを押せば、4~8分程度で歯ブラシを殺菌してくれます。

先述した天日干しとメカニズムは同じですが、わざわざ外に干す必要がありません。
清潔な歯ブラシを毎日使う事が出来るので、洗浄液が面倒だと言う方に良いでしょう。

イソジンやミルトンで除菌

歯ブラシの除菌は、洗浄液以外の商品で代用する事が出来ます。
それは、うがい薬として有名な「イソジン」と、哺乳瓶などを消毒する「ミルトン」です。

どの様に使用するのかを、下記で見てみましょう。

イソジン

イソジンで歯ブラシを殺菌する方法は、水を入れたコップにイソジンを数滴たらし、歯ブラシを浸すだけ。
歯ブラシを1~2分ほど浸す事で、殺菌効果が得られます。

しかし、イソジンは歯ブラシ素材によって、毛先が茶色く着色する場合があります。
独特な臭いも歯ブラシに移るため、それでも大丈夫と言う方だけ行う様にしましょう。

ミルトン

ミルトンで歯ブラシを消毒する方法は、ミルトンを溶かしたコップに洗った歯ブラシを浸すだけ。
次に歯ブラシを使うタイミングまで、ミルトンの中に浸しておきましょう。

イソジンとは違い、ミルトンは数時間浸す必要があります。
1日に何度も歯磨きを行う方は、予備の歯ブラシを常備するなどの工夫を行いましょう。

間違った歯ブラシの除菌方法はやめよう!

間違った歯ブラシの除菌方法はやめよう

歯ブラシの清潔を保つには様々な方法がありますが、中には間違った除菌方法も存在します。
知らずに行っていると、歯と歯茎に余計なダメージを与えたり、身体に害を及ぼす事もあるのです。

では、どのような事が間違った歯ブラシの除菌方法なのでしょうか。
安全に歯ブラシの除菌を行うためにも、下記の項目を確認してみましょう。

熱湯消毒

消毒と聞くと、熱湯や煮沸による消毒をイメージする方は多いと思います。
熱湯消毒であれば、洗浄液を買わずとも自宅で簡単に出来るのですが、歯ブラシの除菌方法としては間違っています。

と言うのも、歯ブラシの素材は、「ポリプロピレン」や「ナイロン」、「アクリル」、「飽和ポリエステル樹脂」など。
これらの素材の耐熱温度は約80℃以下なので、100℃に近い熱湯では熱すぎるのです。

このような素材の歯ブラシを熱湯消毒してしまうと、熱で毛先が変形し、使い物にならなくなってしまいます。
毛先が開いたり弾力性が失われる事で歯垢の除去率が低下し、磨き残しが多発してしまうのです。

とは言え、80℃のお湯ではしっかりとした消毒は出来ません。
熱湯消毒に対応していない歯ブラシには行わないように気を付けましょう。

キッチン用漂白剤

まな板や布巾の除菌を行うためのキッチン用漂白剤ですが、専門的な知識がないままに行う事はとても危険です。
キッチン用漂白剤の成分「次亜塩素酸ナトリウム」は、プールや哺乳瓶の消毒剤など幅広く使用されています。

しかし、それらは基準を定めた濃度に薄められたもの。
そもそも次亜塩素酸ナトリウムは、体に有害と指定されている劇薬。

キッチン用漂白剤の濃度が濃すぎると、歯ブラシに成分が残り、体内に入って体に危険を及ぼしてしまうのです。
かと言って、キッチン用漂白剤が薄すぎても除菌の効果がありません。

適正な濃度での消毒を素人が行う事はとても難しいのです。
健康を意識するのであれば、洗浄液やその他の方法を活用した方が良いでしょう。

アルコール消毒

アルコール消毒もよく知られている消毒方法ですが、歯ブラシの除菌に対しては意味がないと考えられています。
と言うのも、アルコールは70%以上の濃度があって初めて消毒の効果が得られるもの。

市販の消毒用アルコールには70%以上の物も多くありますが、揮発性が高いため、時間経過とともに除菌効果は落ちてしまうのです。
また、アルコールでは効果のない細菌やウイルスも多いため、アルコール消毒だけで歯ブラシ除菌を十分に行う事は出来ません。

これらの事を踏まえると、歯ブラシの除菌には洗浄液や天日干し、代用品を活用した方が良いと言えるのです。
「家にあるから使ってみよう!」と言う安直な行為は、返って歯や歯茎にダメージを与える事があります。

失うと二度と戻らない大切な歯だからこそ、しっかりとした対処を行う事が大切なのです。

歯ブラシと洗浄液のまとめ

歯ブラシと洗浄液のまとめ

毎日使う歯ブラシには、沢山の細菌が付着しています。
そんな歯ブラシで歯を磨けば、歯周病などにも罹りやすくなってしまいます。

菌の宝庫となった歯ブラシを清潔にするのが、歯ブラシ洗浄液。
歯磨き後に洗浄液を使用する事で、歯ブラシの清潔を保つ事が出来ます。

スプレータイプや漬け置きの粉タイプがあるので、自分に合った物を選んでみましょう。
また、洗浄液を使わずとも、イソジンや天日干しなどで、歯ブラシの清潔を保つ事が出来ます。

毎日行う事は難しいと思いますが、休日などを利用して上手に行ってみましょう。
しかし、いくら殺菌・除菌をしたと言えど、同じ歯ブラシを使い続ける事は良くありません。

月に1回は新しい歯ブラシと交換をし、常に清潔な状態を保つようにして下さい。
今回ご紹介した洗浄方法を参考にして、オーラルケアの質を高めていきましょう。

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