ダイエットの手段として断食を選ぶ人は少なくありません。
しかし、食事を抜く事で口臭が強くなる恐れがあるのです。
断食中は身体の中で変化が起き、それに伴い吐く息からアンモニア臭や甘酸っぱいニオイが感じられる事があります。
今回は、断食によって口臭が強くなる原因や、口臭の対策法について解説します。
断食をする事自体は決して身体に毒ではありません。
しかし、ダイエットのために食事制限をするのであれば、口臭対策をするのがオススメです。
断食で口臭が強くなる原因
断食を続けると、口臭はどんどん変化していくのです。
その変化は3段階に分けられます。
まず断食を始めたばかりの頃の口臭は、油っぽいニオイになる傾向があります。
それがアンモニア臭となり、やがては甘酸っぱいニオイに変化していくのです。
時に口臭の変化にとどまらず、体臭にも変化が生じるケースがあります。
口臭対策法を知る前に、断食によって飢餓状態になった身体がどのような変化を起こすのかをここで知っておきましょう。
その変化に伴って、口臭も強くなる事があるのです。
唾液の分泌量が減少する
断食生活を始めてまもない頃は、口臭が油っぽいニオイになる事があります。
これは断食によって空腹状態が続いた事で唾液の分泌量が減ってきたためです。
唾液には口内細菌の増殖を抑える働きがあります。
そのため、唾液が減少すると細菌がどんどん増え、口臭が出やすくなるのです。
例えば、朝起きた時に口臭が強くなる傾向があります。
しかし、これは寝ている間に口呼吸によって、口内が乾燥し細菌が増殖するために起きる現象なのです。
このように、口臭が強くなるのを避けるには、唾液の分泌を促して対策する必要があります。
基礎代謝が落ちる
断食を続けていると、基礎代謝がダウンしやすくなります。
基礎代謝とは、生命維持のために最低限必要なエネルギー代謝です。
断食によって身体が飢餓状態に陥るとこの基礎代謝が落ち、身体に残っているエネルギーでなんとか全身の機能を保とうとします。
基礎代謝がダウンすると口臭にも変化が生じ、アンモニア臭や燃えかすのようなニオイが感じられる事があるのです。
口臭がまわりの人に気付かれるリスクが上がるのも、この基礎代謝が落ちてきたタイミングが多い傾向にあります。
そのため、口臭対策がより必要になってくる時期と言えます。
ケトン体が発生する
断食による飢餓状態が長く続くと、血中で「ケトン体」が作られます。
身体が飢餓状態になるとやがて中性脂肪が肝臓に集まってくるのですが、ケトン体はその中性脂肪が肝臓で分解されたもの。
エネルギー源がなくなってきた身体が新たなエネルギー源を作ろうとして生成するのがケトン体なのです。
ケトン体が作られる段階になると、「ケトン臭」と呼ばれる甘酸っぱいニオイが呼気から出やすくなります。
最初は口臭としてこうしたニオイが出ますが、体臭としても出やすくなるのです。
そして、甘酸っぱいニオイは後に尿のようなニオイへと変化する傾向があります。
そのような状態になる前に、口臭や体臭の対策をしておきましょう。
断食中の口臭の対策法
過度な断食でなければ身体に大きな問題が起こる可能性は低いでしょう。
しかし、いつも取っていた食事を断つ以上、身体に変化が生じるのはやむを得ない事です。
体内で起こる変化にともない口臭が強くなるのも避けられません。
そのため、ダイエット目的で断食を実行するなら、口臭対策を忘れないでください。
ここでは、断食中の口臭を改善させる効果が期待できる口臭対策法をご紹介します。
いずれの対策法も決して難しいものではないので、食事を抜くダイエットを始めたらぜひ実行してみてください。
多くしゃべる
おしゃべりをする事は、口のエクササイズになります。
口を動かす事で唾液がより分泌されやすくなり、口内の細菌が増殖するのを抑えられる可能性があるのです。
また、お友達と沢山しゃべる事は、ストレス発散効果も期待出来ます。
ストレスも唾液の分泌量を減らす恐れがあるので、口臭の原因になりやすいのです。
ダイエットのためとは言え、断食しているとストレスが溜まりやすくなります。
「しゃべると相手にニオイが伝わる」と考えあまり口を開かない人もいますが、しゃべる事も口臭対策の1つである事を知っておいてください。
唾液の分泌を促すものを食べる
断食中でも「少し何か食べたい」と思ったら、唾液の分泌を促す食べ物を選ぶのがオススメです。
こうしたものを食べると唾液の分泌量が増える可能性があります。
・梅干し
・納豆
・昆布
・ガム
・フランスパン
・雑穀
・もち米
味に刺激のあるものや納豆、昆布のように口内を潤す成分を含むもの、よく噛まないと食べられないものなどは唾液の分泌を促す傾向があります。
食事にちょっとした工夫を加える事で、ものを食べながら口臭対策が出来る可能性があるのです。
マッサージをする
唾液を分泌する唾液腺をマッサージする事も、口臭対策の1つです。
唾液腺は耳下腺、顎下腺、舌下腺の3種類あります。
まず耳下腺は、人差し指から小指までの4本の指を頬に当てる事でマッサージ出来ます。
指を当てたら、そのままゆっくり円を描くようにマッサージしましょう。
次に顎下腺は、耳から顎までのラインを指で押す事でマッサージ出来ます。
耳下から顎にかけて、下から突き上げるようなイメージで押しましょう。
舌下腺については、顎の真下を親指で押す事で刺激出来ます。
両手の親指を同時に顎の下に当て、ゆっくり突き上げるように押してください。
耳下腺、顎下腺、舌下腺すべてを刺激する事で唾液が分泌されやすくなる効果が期待出来ます。
断食中は唾液の分泌量が減りやすいので、ぜひ唾液腺のマッサージにトライしてみましょう。
運動する
軽く身体を動かす事でも基礎代謝が上がる効果が見込めます。
そのため、断食中の飢餓状態による口臭を抑えられる可能性があるのです。
断食中でも軽く食事をとる人がいますが、運動は食事の直前にするのがオススメと言えます。
そのタイミングに身体を動かすと基礎代謝がアップしやすい傾向があります。
ハードな運動をする必要はなく階段を上る、大股で歩くといったちょっとした事で十分です。
もし運動をする気になれない場合は、ストレッチやマッサージをオススメします。
筋肉をほぐす事で血行が改善され、基礎代謝が上がる効果が期待出来るためです。
これらの対策で基礎代謝を上げる事で口臭発生を抑える効果だけでなく、ダイエットの面でもプラスの効果が期待出来ます。
対策をとる前と同じ動作をしても、エネルギーを多く消費出来るという効果が見込めるのです。
オーラルケアで口臭を防ぐ
これまでご紹介した口臭対策法であまり効果が実感出来ない場合、断食とは無関係の原因で口臭が強くなっている恐れがあります。
対策をしても口臭が改善されないという人は、オーラルケアが十分に出来ていない可能性があるのです。
歯磨きをする時は、このような工夫をしてみましょう。
・歯みがき粉の量はヘッドの3分の1
・ペンを持つような持ち方で歯ブラシを持つ
・磨く時は力を入れすぎない
・磨き残しのないよう歯は端から順に磨く
・うがいの時は口のすみずみまで水を行き渡らせる
歯磨きを念入りに行わないと、歯周病菌が増えるリスクが上がります。
歯周病菌も口臭の大きな原因になるので、日頃からオーラルケアをしっかり行いましょう。
また、歯磨きだけでなく、舌磨きもするとより高い口臭改善効果が期待出来ます。
朝食抜きの半日断食でも口臭になりやすい?
朝起きて何も食べずそのまま出かけてしまう人は要注意。
朝食抜きの半日断食をしている人は、たとえ健康面に問題がなくても口臭が強くなっている可能性が高いためです。
朝食を食べずに出かける人は、歯磨きも省いてしまう傾向があります。
これは、就寝中に増えた口内細菌をそのままにして出かけてしまう事を意味するのです。
そのため、口臭対策をするためには、朝食を抜くとしても歯磨きを忘れてはなりません。
眠っている間に口内で増えた細菌を減らしましょう。
断食と口臭の対策のまとめ
食事を抜く事で身体が飢餓状態に陥ると、口臭または体臭が強くなる恐れがあります。
ダイエットのために断食をする際、口臭対策を忘れないようにしましょう。
なお、断食自体は決して身体に悪い事ではありません。
ダイエット効果以外に、これらのようなメリットが得られる可能性があるのです。
- 消化器系機能の改善
- 便秘改善
- 美肌効果
- 免疫力の向上
- 脳の血流改善
ただ、断食によって100%こうした効果が得られるとは限りません。
断食をする場合は口臭に注意を払い、なおかつ身体を壊さないよう気を付けながらトライしましょう。