口臭の問題は、どんな人でも抱え得る悩みの一つです。
口内環境や体調の問題などで口臭が強くなる事がありますが、女性の場合は妊娠や更年期も口臭と関わってきます。
これは、女性ホルモンの働きが口臭の発生と関係しているからなのです。
今回は、生理前に口臭が強くなる現象について、その理由や対策などを解説します。
どのような理由で発生する口臭でも、ある程度自分で防ぐ事が可能です。
「生理現象だから」と諦めず、女性の方はぜひ対策しておきましょう。
口臭の原因
「生理前の口臭」の前に、一般的な口臭の原因についてご説明します。
口臭には大きく分けて「生理的口臭」「病的口臭」の2種類があります。
生理的口臭は口内環境が原因で発生する口臭であり、病的口臭は身体の病気が原因で発生する口臭です。
一般的な口臭の多くは、生理的口臭に分類されます。
「生理前だから口臭が強いのかな?」と思っていたものが、実は生理的口臭や病的口臭である可能性もあるので、日頃から対策が必要です。
それでは、生理的口臭と病的口臭の具体的な原因について知っていきましょう。
生理的口臭の原因
生理的口臭は、誰にでも発生し得るものです。
生理前の女性の口臭が強くなるのも、この生理的口臭に分類されます。
この生理的口臭は、主に口内環境に問題がある事によって発生しやすくなります。
- 舌苔
- 口の中の乾燥
- 飲食
- 歯垢の蓄積
- 膿栓(扁桃にたまるカス)
生理的口臭は、時間帯によって強まったり弱まったりするという特徴があるのです。
例えば、朝起きた後は口内に雑菌がたまる、歯に挟まった食べカスが腐食するといった事によって口臭が強くなります。
また、食事の前の時間帯も口内の唾液が減っている事で雑菌が増え、口臭が強くなるという現象が起こります。
ちなみに、口臭のおよそ80~90%は、口の中の状態が良くない事が原因で発生するのです。
生理前の口臭の場合、排卵や生理周期と関係がある事が分かっています。
排卵日と、そこから生理が始まるまでの間に口臭の原因となる物質が増える傾向があるため、生理前は口臭が強くなりやすいのです。
病的口臭の原因
口臭は生理前以外に、口の中の病気や内臓疾患がある時に発生する事もあります。
こうした口臭を病的口臭といいます。
病的口臭は、以下のような事が原因で発生しやすくなるのです。
- 歯周病
- 虫歯
- 身体の病気
身体の病気については、具体的に糖尿病、肝炎、消化器系の疾患など様々な内臓疾患が挙げられます。
これらが原因で発生する口臭には独特な臭いがあり、またどこの病気かによっても臭いが異なるのです。
口臭の約10%は、こうした身体の病気が原因で発生します。
生理前に口臭が強くなる理由
生理が近くなると、ホルモンバランスの変化によって精神的に不安定になったり体調が悪くなったりする事があります。
口内炎や歯肉炎といった口の中の異変が起こるケースもあり、口臭もその1つです。
生理前の女性の口臭が強くなるのは、女性ホルモンの働きと深く関わっています。
ここからは、生理前に口臭が強くなる理由について説明しましょう。
生理が始まる前、女性ホルモンが口内環境にどのような影響をもたらすのかを、具体的に解説します。
ホルモンバランスの変化
生理の始まる前には排卵が起こりますが、排卵日の48時間前にはホルモンバランスが大きく変化します。
具体的には、女性ホルモンのエストロゲンが急増するのです。
これに伴い、口臭の原因物質を形成する揮発性硫黄化合物(VSC)というガスも増えます。
生理前に口臭が強くなるのは、この揮発性硫黄化合物が急激に増えるからなのです。
揮発性硫黄化合物は、排卵日の前後、排卵日と生理期間の間に多くなる傾向があるので、それらの時期は口臭に注意をしましょう。
エストロゲン・プロゲステロンの歯肉への影響
生理前に口臭が強くなるのは、エストロゲンとプロゲステロンの働きによって歯肉炎を起こす事も、原因の1つとして挙げられます。
排卵日から次の生理が来るまでの黄体期は、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが歯肉の状態に悪影響を及ぼすのです。
まず、エストロゲンには歯肉炎を起こしやすくする作用があり、プロゲステロンは歯肉の血管に働きかけ、歯肉炎を進行させる作用を持ちます。
これら2つのホルモンが増加する事や、両者のバランスが悪くなる事で、歯肉炎は悪化するのです。
ブラッシングやハーブティーで口内の雑菌を減らせば、ある程度自分で歯肉炎を予防できる可能性があります。
生理前にオススメの口臭対策・予防法
プライベートでも仕事中でも、人と会う事があるのなら口臭が強いと気になります。
女性ホルモンの作用によって口臭が出る事自体は、仕方のない事です。
しかし、そのような形で出る口臭でも対策は出来るので、諦めてはいけません。
ここでは、生理前の口臭に悩む女性にオススメの対策・予防法をお伝えします。
口内環境を整えれば、生理前の気になる口臭を防げる可能性があるのです。
自分で出来る事ばかりなので、ぜひ実践してみてください。
歯磨きとフロス
口臭対策・予防の上で歯磨きは基本です。
生理前の口臭を防ぐ上でも、歯磨きやフロスは欠かせません。
朝と夜は必ず歯を磨き、可能であればお昼もブラッシングしましょう。
歯を丁寧に磨く事も大切ですが、歯と歯茎の境目も歯垢が溜まりやすいのでしっかり歯ブラシを当ててください。
また、歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは落としづらいものです。
ブラッシングだけでは落ちにくい汚れを、デンタルフロスで取り除いてください。
特に、就寝中は口内の雑菌が増えやすいので、夜寝る前は必ず歯磨きとフロス両方行いましょう。
舌苔を取り除く
舌に白っぽいものがこびりついていたら、それが舌苔(ぜったい)です。
舌苔も口臭の大きな原因なので、これが多いと感じたら、歯ブラシやタオルで優しくこすり取りましょう。
口臭の強くなる生理前は、特に舌苔に注意を払ってください。
しかし、舌苔を落とし過ぎる事でも口臭が強くなる恐れもあります。
そのため、舌を強くゴシゴシこすって完全に落とそうとするのはオススメ出来ません。
うっすら舌苔が付いている程度であれば問題はないのです。
唾液を出しやすくする
唾液には、口内の雑菌を減らす働きがあります。
たとえ生理前でなくても、口の中が渇きがちだと口臭が出やすいのです。
食べ物が飲み込みづらかったり口の中がネバネバしたりする人は、唾液が不足している可能性が高いと言われています。
唾液を出しやすくするための手っ取り早い方法はガムを噛む事です。
また、以下のような口のストレッチを行うと、唾液が分泌されやすくなります。
- 舌で上下の歯茎全体に触れる
- 両頬の内側に舌を当てて、上下に動かす
- 口を大きく動かして「あ・い・う・え・お」とはっきり発音する
唾液が不足している人は、こうした舌や唇のストレッチをしましょう。
歯医者でケアを受ける
口の中の汚れが取りきれないと、口臭が出やすいものです。
しかし、自分で汚れに対処するのは、時に大変になる事もあります。
自宅でのオーラルケアに限界を感じたら、歯医者で歯垢や歯石を除去してもらいましょう。
生理前の女性ホルモンの作用によって歯肉炎を発症する事もあるので、そうした疾患に対処するという意味でも定期的に歯医者に行くのは大切です。
また、ドライマウスが口臭の原因になっている場合は、そういった面の治療やアドバイスを受ける事もオススメします。
健康を維持する
口臭の多くは、生理前でない限りは口の中に何らかの問題がある事によって発生します。
しかし、場合によっては身体に異常がある事で口臭が強くなるケースもあるのです。
何らかの疾患が既にある場合、そちらの治療を受ければ口臭も改善されていく可能性が高いでしょう。
健康問題からくる口臭を予防するには、身体を健康に保つ事が重要です。
以下のような対策をとりましょう。
- 十分な睡眠
- 規則正しい生活
- バランスの良い食事
- ストレスの発散
また、病気とまではいかなくても、胃腸が疲れていると口臭が強くなる事があります。
食べ過ぎや飲み過ぎの傾向がある人は注意しましょう。
口臭と生理前のまとめ
口臭の原因物質を構成するものとして、揮発性硫黄化合物というものがあります。
生理前に口臭が気になりやすくなるのは、女性ホルモンの作用によってこの揮発性硫黄化合物が急増するからなのです。
こうした現象自体はどうする事も出来ないのですが、生理前の口臭はある程度自分で予防する事も出来ます。
歯磨きなどでしっかりとオーラルケアをすれば、生理前でも口臭が気にならなくなる可能性があるのです。
また、生理が近い時でなくても、口内環境や健康上の問題が原因で口臭が発生する事があります。
口臭を防ぎたいのであれば、「健康」にも注意を払う必要があるでしょう。